名家に生まれた美世は実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。
使用人のようにこき使われる日々を送っていたある日、思いがけず嫁入りを命じられた相手は
冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞(きよか)。
その男は数多の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。
斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世だったが、目の前に現れたのは色素の薄い美貌の男。
初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに
少しずつ清霞と心を通わせていき――。
‟この結婚に、幸せな結末なんて存在しないはずだった”
これは、少女が愛されて幸せになるまでの物語。